AppleデバイスでeSIMを使用するための準備をする
モバイルデータ通信のアクティベーションには、通信事業者から提供されたSIMまたはeSIMのいずれかが必要です。eSIMの方がさまざまな面でメリットがありますが、地域によっては、教育機関が求める規模でのeSIMの導入に対応できる通信事業者が存在しないこともあります。通信事業者を選ぶときは、ユーザの居住地、職場や学校の敷地、および最初にデバイスを構成する場所が通信範囲に入っているかどうかも考慮してください。
eSIM対応
iOS 16以降のiPhoneでは、デバイスの設定中にeSIMを自動的にインストールできます。モバイルデータ通信事業者がeSIMキャリアアクティベーションに対応している必要があります。その場合、デバイスの初期設定中にMDMを使ってeSIMをインストールする必要はありません。
自動デバイス登録を使用しているiPhone(iOS 16以降)またはiPad(iPadOS 16.1以降)でも、eSIMを自動的にインストールできます。このプロセスでは、Apple School Manager、Apple Business Manager、またはApple Business Essentialsが使用されます。この場合も、モバイルデータ通信事業者がeSIMキャリアアクティベーションに対応している必要があります。
iPhoneおよびiPadのモデル | eSIM対応 | eSIMの自動インストール | nano-SIM対応 | ||||||||
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すべてのモデルのiPhone 16(米国のみ) すべてのモデルのiPhone 15(米国のみ) すべてのモデルのiPhone 14(米国のみ) | デュアルeSIM | ||||||||||
すべてのモデルのiPhone 16(米国外) すべてのモデルのiPhone 15(米国外) すべてのモデルのiPhone 14(米国外) | デュアルeSIM | ||||||||||
すべてのモデルのiPhone 13 iPhone SE(第3世代) | デュアルeSIM | ||||||||||
すべてのモデルのiPhone 12 | 単一eSIM | ||||||||||
iPhone SE(第2世代) すべてのモデルのiPhone 11 すべてのモデルのiPhone X | 単一eSIM | ||||||||||
13インチおよび11インチiPad Pro(M4)モデル 13インチおよび11インチiPad Air(M2)モデル | 単一eSIM | ||||||||||
11インチ、12.9インチiPad Pro(第3世代)以降のモデル iPad mini(第5世代)以降 iPad Air(第3世代)以降 iPad(第7世代)以降 | 単一eSIM |
eSIMのセキュリティ上のメリット
eSIMは非常に安全性が高く、改ざんされにくいという特徴があります。複製または変更することはできず、特定のデバイスでのみ作動するように設計されています。設計上、GSMA eSIM仕様SGP.21で、1つのeUICCから別のeUICCにeSIMプロファイルを書き出すことは制限されています。
物理SIMの場合は、ユーザのSIM(ユーザの電話番号が格納されている)がほかの人に簡単に盗まれてしまう可能性があります。その結果、ワンタイムパスコードや個人識別番号の受信など、その番号へのSMS通信ができてしまいます。eSIMでは、そのような可能性はありません。
ユーザのiPhoneにサービス回線が追加されないように、MDMとAllowESIMModification
制限を使ってeSIMの追加または削除を防ぐことができます。
米国内で販売されているiPhone 14以降のすべてのモデル、およびiPad Pro(M4)とiPad Air(M2)のすべてのモデルは、eSIMにのみ対応しています。つまりeSIMを物理的に取り外したり交換したりできないため、保護が強化されます。iPhoneやiPadをなくしたり盗まれたりした場合でも、別の回線でアクティベートするのがさらに難しくなります。
通信事業者の選定
すべてのiPhoneデバイスと一部のiPadデバイスには、モバイルデータ通信の通信範囲があります。導入の計画時に通信範囲を最大限に利用できるようにするため、ニーズに合った通信事業者と契約していることを確認してください。
eSIMはソフトウェアベースのため、導入の柔軟性が格段に高く、セキュリティの確保も物理SIMと比べて容易です。管理者は、eSIMのインストールをリモートでトリガできるほか、ユーザがeSIMをデバイスから削除するのを制限することができます。ユーザへの導入後にモバイルデータ通信事業者の変更が必要になった場合でも、MDM(モバイルデバイス管理)コマンド1つで実行でき、ユーザ側での操作は必要ありません。eSIMを使用することにはほかの利点もあります。例えば、許可されている場合は、ユーザが「設定」>「モバイル通信」で以前のeSIMを使用するように変更することもできます。
選定時は、通信事業者に以下の点を確認してください:
契約の締結後、サポートされているiPhoneデバイスやiPadデバイスに割り当てるeSIMの作成と提供のスケジュールは?
通信事業者がeSIMの自動インストールのためのeSIMキャリアアクティベーションに対応しているか?
通信事業者がユーザによるiPhoneおよびiPadデバイス間でのeSIM転送を許可しているか?
通信事業者のeSIMサーバ(SM-DP+サーバ)のURLは?
ファイアウォール経由で通信事業者のeSIMサーバにアクセスできることを確認します。
通信事業者のeSIMサーバのホスト名は、MDMを使ってeSIMをインストールするときに使用します。
モバイルデータ通信の通信範囲と容量に関して、通信事業者がデバイスを導入する予定の場所やリモート学習を行う可能性のある場所の付近にある携帯電話基地局を調査できるか?
注記: 通信事業者によっては多数のデバイスから同時にeSIMのプロビジョニングを要求される事態を懸念することがあるため、多くの場合、通信事業者との通信に自動プロビジョニングを使用するよう依頼されます。