画像の様な国際会議は、今は昔の話になってしまいました。コロナ禍の現在、国際会議もオンラインで開催されています。
今回は、弊社代表の右田が通訳として参加した、2020年7月に開催された「G20デジタル経済大臣会合」の様子を元に、こう言った会議での通訳の仕事について、少しご紹介したいと思います。
G20デジタル経済大臣会合
「G20デジタル経済大臣会合」とは、デジタル技術の活用について主要20カ国・地域(G20)などが議論する国際会議です。
コロナ禍と言う事もあり、テレビ会議方式で開催された本会議には、日本からは原経済産業副大臣と寺田総務副大臣が出席されました。
今回の会議には、2020年G20首脳会合議長国であるサウジアラビア及び、以下のG20構成国・地域と招待国の閣僚・官僚、国際機関の職員が参加しました。
- G20構成国:日本、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、欧州連合(EU)、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、イタリア、メキシコ、韓国、南アフリカ、ロシア、トルコ、英国、米国
- 招待国:ヨルダン、ルワンダ、シンガポール、スペイン、スイス、アラブ首長国連邦(UAE)、ベトナム
- 国際機関 :ITU(国際電気通信連合)、OECD(経済協力開発機構)
G20デジタル経済大臣会合の開催結果については、総務省のWebsite及び経済産業省のWebsiteに、閣僚声明他が掲載されておりますので、ご確認下さいませ。
総務省 G20デジタル経済大臣会合(テレビ会議)の開催結果
経済産業省 牧原経済産業副大臣がG20デジタル経済大臣会合(テレビ会議)に参加しました
国際会議での通訳方法
さて、様々な国が参加する国際会議では、どの様に通訳がされているのでしょうか?
まずは余り世間では知られていない、多言語世界での通訳方法について、ご紹介します。
ピボット言語 / リレー通訳
国際会議に限らず、様々な言語が入り混じる場での通訳の場合、「ピボット言語(Pivot Language)」と言うものが存在します。
これは通訳において中心となる言語と言う意味で、多くの国際会議では英語が「ピボット言語」となる事が多いです。(フランス語の場合もあります)。
この「ピボット言語」を用いた通訳の事をリレー通訳と呼びます。
【リレー通訳・例】
※ピボット言語・英語
アラビア語→(英語)→日本語
日本語→(英語)→各国語
国際会議での通訳は、この様に行われています。
オンラインで開催される会議での通訳
今回の「G20デジタル経済大臣会合」はテレビ会議で開催されたので、日本はもちろん各国の参加者が各会議室に集まり、その様子が中継で結ばれました。
通訳者は、会議室に設置された通訳ブース内で、各会議室の発言をピボット言語を通じて各国の言葉に訳していきます。
現在、多くの国際会議もオンラインで開催されていますが、このテレビ会議と同様の方法で実施される事も多いです。また通訳者のみが会議室に集まって行われる事もあります。しかし、通訳者も含めた参加者全員が自宅から会議に参加する場合もあります。
その様な場合の通訳方法については、また別の機会に詳しくご説明します。
国際会議での通訳準備
「G20デジタル経済大臣会合」は、約2時間半の会議でしたが、この会議の通訳をするにあたり、通訳者はどの様な準備を、どれくらいの時間するのか、少しご紹介したいと思います。
まず会議に参加するにあたり、以下の様な事や資料をチェックします。
- 会議参加者の肩書及び名前(発音含む)のチェック
- 前回の議事録のチェック(会議の流れや経緯、背景等を確認)
- 前回の議事録に記載されていた別資料のチェック(議題や会議で話される案件をより深く理解)
これらチェックと同時に行われるのが、会議で使われるであろう用語や話題を抜き出した単語帳の作成になります。
会議で使用されるであろう用語、専門用語、人名、関連するであろう話題や情報を、当日の会議で慌てない様に、前もってまとめておきます。
これらの準備は、会議の時間や期間によって異なりますが、「G20デジタル経済大臣会合」では5時間程度費やしたと、弊社代表のアンドリュー・右田は言っていました。
AIIC / 国際会議通訳者連盟
通訳は、通訳エージェントを通じて仕事を依頼される場合も多いですが、閣僚級の政治家や官僚が参加する国際会議や、オリンピックといった世界的なスポーツイベント、また国連関係の会議等、国をまたいだ国際的組織のお仕事はエージェント経由ではなく、直接通訳者に依頼が来ることも多いです。
その時に通訳者の取りまとめや窓口になる組織が、AIIC / 国際会議通訳者連盟になります。
弊社代表の右田アンドリュー・ミーハンも、このAIICのメンバーになります。