Sustainable Development Goal 2

飢餓をゼロに

世界では今も、8億人近くが飢餓と栄養不良、低い生産性と病気の連鎖に陥っています。2030年までに飢餓に終止符を打つということは、単に必要とする人々に食料を提供するだけにとどまりません。目標を達成するためには、農村部および都市部の食料システムに大規模な投資を行い、持続可能な農業の拡大、生活の改善・健康の向上に対する支援、安定して末長く機能する流通ネットワークの構築を目指す必要があります。

国連大学では、食料の安全保障について総合的な研究アプローチをとっています。アフリカの食料・飼料の生産量向上を目指す取り組みは、生活の保障、社会的・経済的な生活状況の向上、および農村部の経済状況の改善に役立っています。また、気候変動、土壌生産性の低下、水不足の深刻化に対しては、排水の安全な農業利用により農家の資源アクセス向上を目指す革新的な取り組みを主導しています。

研究者からのメッセージ

ルールー・チャン

国連大学 物質フラックス・資源統合管理研究所 (UNU-FLORES)
シニア・リサーチ・アソシエイト

「土地は私たちの生活の基盤です。食料やエネルギー、水を供給し、温室効果ガスを吸収してくれます。持続可能な土地利用は、社会と経済の繁栄を促します。国連大学では、限りある資源をこれ以上枯渇させることなく、将来の需要を満たせるように、土地の可能性を切り開くことを目指して研究を行っています」

ニャシャ・ティリバイ

国連大学 マーストリヒト技術革新・経済社会研究所(UNU-MERIT)
リサーチャー

「世界には十分な食べ物があるにも関わらず、8億人以上が飢餓に苦しんでいます。私は飢餓と栄養失調を根絶する世界の取り組みを支援したいと考えています。国連大学では、人道支援や社会プログラム、農業のイノベーションについて研究し、飢餓をなくし弱い立場にある人々の栄養状態を改善させる取り組みを進めています」

サブリナ・キルシュク

国連大学 物質フラックス・資源統合管理研究所 (UNU-FLORES)
シニア・リサーチ・アソシエイト

「良質な淡水資源は、持続可能な社会生態系の実現に不可欠です。しかし、不十分なガバナンスが原因で、河川や湖、地下水の汚染が引き起こされています。私の研究では、水と土壌と廃棄物の関係性という視点から、水質を改善するためのガバナンス戦略の設計に取り組んでいます」

注目のプロジェクト

排水の安全な農業利用

世界的な水不足にもかかわらず、私たちの生活の中で発生した排水の80%以上が、再利用されることなく生態系へと還流しています。このプロジェクトは、エネルギー、灌漑、土壌肥料の貴重な資源として排水の利用拡大を目指しています。

西アフリカにおける灌漑農業

西アフリカは、変動が激しい季節的な降水やそのほかの気候要因によて、水不足や土地の栄養不足に直面しています。このプロジェクトでは地域の関係者と共に、簡単で費用対効果が高く、かつ効率的な意思決定ツールを開発し、灌漑農業のマネジメントと生産高を増やす取り組みを進めています。

農業多様性と持続可能性

農業多様性とは、農業従事者が自然環境の多様性に合わせて栽培する作物を選定し、土地や水、生物を管理する方法を意味します。このプロジェクトでは、森林管理や土地の回復における優良事例を記録し、大学院レベルの学生への研修や、気候や生態系の変化を軽減し適切に対処する地域コミュニティの能力強化につなげています。

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