Sonyさんの投稿

ソニーグループ(株) 先端研究部の高塚 進、佐藤 秀仁とJAMSTEC(*1) との共著論文がEcology and Evolutionに掲載されました。 https://lnkd.in/gPXf8ncD Ecology and Evolutionは、科学、医学、教育などの分野の世界的な学術出版社であるジョン・ワイリー・アンド・サンズが出版する学術オンライン誌です。   論文タイトル：Millisecond-scale behaviours of plankton quantified in vitro and in situ using the Event-based Vision Sensor   本論文は、イベントビジョンセンサー (EVS) を用いて遊泳するプランクトンを撮影し、EVSの出力するイベント情報からプランクトンの遊泳行動に関連した特徴量を解析することで対象を推定する新しい海洋生物測定技術の研究成果について記しています。本研究では、従来は困難であった海中での直接観測を実現しました。そして、将来的には、リアルタイムに海洋の生態系を捉えて全球的な海洋の状態を常時把握するための観測システムの構築を目指しています。   EVSは従来のイメージセンサに比べ、海洋粒子のセンシングに適した特長として、粒子の動きを正確に捉える高速撮影や、暗い海洋中の低輝度の変化を捉えて変化点のみを出力することによる省データでの低消費電力などの機能を持っています。研究では形状、移動、周期性の３つの観点で22の異なる特徴量を算出しています。また、従来撮影に用いられてきた白色光の照明は、プランクトンなどの生物が光に反応して行動を変える走光性を持つため、自然の状態を正確に測定することができませんでした。EVSはほとんどの生物が感知できない波長770nmの近赤外光のわずかな変化も捉えることができるため、この波長を照明に用いることにより、非侵襲での測定を実現できました。   これらのシステム構成を用いて、３種の動物プランクトンと粉塵の計４種の粒子の混合物を対象とする試験を実験室環境で実施し、機械学習で粒子種別の自動分類をしたところ、正解率は最大86%に達しました。 また世界的にも前例のないEVSによる水中での直接観測として、琵琶湖と駿河湾の深海底を観測しました。撮影した粒子の速度変化や遊泳運動による粒子サイズの変化における周期性の有無等の特徴量から、生物粒子・非生物粒子を４つのグループに分類する実験を行いました。   本研究内容に関して、有識者からのフィードバックを期待しています。また、我々が提案するEVSを用いた観測システムを研究者に無償貸与する活動も行っています。ご連絡をお待ちしております(*2)。   なお本研究の一部は、2021年に文部科学省が公募した「海洋資源利用促進技術開発プログラム海洋生物ビッグデータ活用技術高度化」で採択されたプロジェクトで進められており、高塚 進がプロジェクトの代表研究者を務めています。   *1国立研究開発法人海洋研究開発機構 *2 Sony | Technologyのメッセージボタンよりお問い合わせください #Sensing #EVS #OceanParticle #Plankton #DeepLearning #EventCamera #ComputerVision #DVS #HighSpeedCamera #MarineScience #Sony #Research